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2017年7月23日

初級授業のいろいろ

こんにちは。日本語教師の宮﨑です。初級の授業についてお話します。
NILSの初級クラスでは絵カードを使って授業をします。ホワイトボードに文を書いて練習などはしません。それは、視覚的にみて練習したほうが残りやすいし、わかりやすいからです。ホワイトボードに文を書いてリピートをするのでは、文を読む練習にしかなりません。絵を見て、自分で考えて発話することが大切です。ですので、最初のほうの課だと、絵カードの準備が少し大変が、学生のことを考えると、そうも言ってはいられません。

課が進んでくると、いろいろな言葉が話せるようになるので、絵カードもいろいろ使わなければなりません。しかし、全てを絵カードで練習するのも考えものです。確かに、絵カードで練習していれば、視覚的に補助できるのでわかりやすくはなるでしょう。しかし。それによって弊害も出てきます。
では、何が問題なのでしょうか。絵カードをホワイトボードに貼って授業を行うということは、ホワイトボードにはほとんど字がない状態になります。そうすると、文字を読む機会が減ってしまうのです。
「文字を読んでも仕方ないんじゃなかったの?」
と思う方もいるかもしれませんが、ホワイトボードに漢字の文字カードを貼らないと漢字を読む機会が減ってしまうのです。中国人学生以外、基本的に漢字はわかりません。入学した時もほぼ漢字は0(ゼロ)の状態で入学します(困ったものですが…)。
彼らは、日本語学校を卒業した後は、大学や専門学校へ進学します。ですので、1年半や2年である程度漢字が読めるようにならなければなりません。
では、彼らが漢字に触れるのはいつかというとやはり授業が一番多いでしょう。ただ漢字に触れるだけならば、町中に漢字はあふれているので問題ありません。しかし、日常生活で漢字を意識しているばかりではありません。ということは、学校で意識的に漢字に触れる機会を増やしてあげなければ、彼らは漢字がわからないままになってしまうのです。

写真提供:ペイレスイメージズ

絵カードを使えばわかりやすいですが、学生のレベルやスケジュールの進捗によって文字カードにかえていくべきでしょう。「食べます」、「飲みます」など、課の始めのほうに出てくる動詞をいつまでも絵カードで使うのは有効とは言えません。ある程度進んだら、漢字の文字カードに切り替え、学生に漢字を意識させて授業をするべきでしょう。
「学生が漢字が読めない」と言う先生もいますが、読めないならば、こちら側で工夫して学生が読めるように指導していくというのも大切なことです。