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2017年2月22日

アニメと語彙と日本語教師

こんにちは、日本語教師の平田です。
いまや、日本を代表するカルチャーとなったアニメーション。最近は新海誠監督のアニメ「君の名は」が日本のみならず、台湾、香港、タイ、中国でランキング1位を記録するほどの大ヒット♪ NILSに在籍している中国、台湾の学生に聞いてみると、海外公開前に日本の映画館でいち早く観たそうです。さすがランキング1位になるだけあって、新海作品はすごく人気があるんだなと思いました。

ところが、ネパール国籍の学生に「君の名は」について聞いてみると、
「タイトルも知らない」
「聞いたことがない」
という反応…。

そこで、「みなさんが知っているアニメはなんですか」と聞くと、一番多いのが「忍者ハットリくん」、次に「ドラえもん」という答えでした。どうやら子供のころ、ネパールのテレビで放送されていたそうです。私も藤子アニメで育った世代なので、「忍者ハットリくん」懐かしいなぁと思い、授業中につい「忍者ハットリくん」について話してしまいました(^^;

「君の名は」はまだまだ多くのネパール国籍の学生に届いていないようですが、アメリカ国籍の学籍に聞いてみると、「君の名は」はもちろん、最新アニメのタイトルがたくさん出てきました。その学生は最近では昨年12月までテレビ放送されていたフィギアスケートが題材のアニメ「ユーリ!!! on ICE」が大好きだそうです。私は「忍者ハットリくん」の話にはついていけるのですが、最新アニメになるとちょっとついていけなくなって困ったのですが、本当によく知っているなと感心。

もちろん国籍にかかわらず、人によって知っているアニメが違うのは当たり前の話で、日本人でも同じだと思います。しかし、雑談であれば興味があることの違いでいいのですが、これが語彙の授業になるとちょっと困ったことになります。例えば「すもう」。一度でも「すもう」を見たことがある学生にとっては詳しく説明する必要もない言葉だと思うのですが、「すもう」を一度も見たことがない学生にとって、言葉を尽くして説明したとしてもよくわかりません。私も実際、授業中に「すもう」は「レスリング」のことですかと質問があり、ちょっと困ったこともあります。これは「剣道」「神社」「牛丼」「味噌」など文化に関わる語彙を教えようとするときに必ず引っかかってきます。日本について知識がある学生とそうでない学生が一つの教室にいる場合、どの程度、語彙に説明を要するのか、事前に考える必要があります。その際は教具としてレアリアやわかりやすいイラスト、動画等を使って、授業の工夫をしていかなければならないでしょう。

日本語教師として現場に出て気付いたのは、日本に留学しているからと言って、必ずしも日本のことに何でも興味があったり知識があったりするわけではない、ということです。留学生は様々な興味、目的を持っていますから、日本語教師は日本語だけを教えるわけではなく、異文化に興味を持たせてわかりやすく教えることも必要になってきます。そして、教師がそういった創意工夫をしていくことで、学生の日本での生活も有意義なものになっていくんでしょうね。

よーし!そろそろ「君の名は」を観に行こうかな ε=┌( ^o^)┘