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2012年3月19日

NILS学校?SONY会社?

日本語教師の矢野です。

ある日の授業中のやりとりです。
学生:「貿易会社の貿易は何の意味ですか?」
私:「貿易はtradeですよ。品物を輸出したり輸入したりすることです。」
学生:「ああ、会社の名前ですね。」

「ちょっと待った!」と心の中で私は叫びました。貿易会社は会社の種類を表す単語で固有名詞ではありません。そう説明して、会社の名前の例をあげてみました。

JTBは旅行会社
SONYは電気製品の会社
JRは鉄道会社

学生はどうも腑に落ちない様子です。
「名前だけでは学校なのか、会社なのか、病院なのかわからないじゃないですか。」と言うのです。確かに固有名詞だけではその正体はわからないですね。九州電力が電気の会社だというのは社名から類推できそうな気もしますが、非漢字圏から来たばかりの学生には難しいでしょうね。

そう言えば、学生が「NILS学校」「DOCOMO会社」などという言葉をよく使っているのを耳にしますが、そういうことかと思い当たりました。彼らの感覚では「NILS」「DOCOMO」など正体不明の固有名詞だけだとどうも不安に感じるようなのです。確かに会社名や商品名など聞いただけでは察することが難しい固有名詞が現代の日本には多いですね。言葉をマスターするというのは辞書に載っている単語を覚えるだけではすまないのですね。その国の常識になっている背景も一緒に知らなければ現実の世界ではなかなか使えないことになってしまいます。

学生たちも大変です。日本語教師である私達もしっかりサポートしたいものです。