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2022年9月21日

こんにちは?こんにちわ?

こんにちは。 日本語教師養成講座ニューヨークアカデミー福岡大橋校の牟田です。

 先日の「台風」、皆さん、大丈夫でしたでしょうか。 道路の冠水、家屋の浸水、また農作物の被害などのニュースを見るたびに、心が痛みました。

 さて、私事で恐縮ですが、5歳になる孫が、近頃、幼稚園で「ひらがな」を練習し始めたとかで、私に、よく、書いて見せてくれます。そして、先日、「こんにち」と書いていたので、私が、「これは、『こんにち』だよ!」と言うと、「違うよ!『わ』って言うし!」と言い張りました。

 正解は、もちろん「こんにち」です。では、その理由は何でしょうか。皆さん、ご存知ですか。

 発音するときは、「こんにち」の発音が「HA」ではなく、「WA」なので、文字で書いたときに、「こんにち」と、してしまいがちかもしれません。

 しかし、普段、よく使用するこの言葉は、実は、「今日は、ご機嫌いかがでしょうか。」「今日は、ずいぶんと風が強いですね。」などの挨拶の文の後半の部分を省略した表現なのです。

「今日」は「こんにち」と読み、「きょう」のことです。

 また、「現代仮名遣い」において、助詞を含む言葉は、「は」と書く、とされているため「わ」ではなく、「は」が正しい書き方なのです。

 「こんばんは」も同様です。「今晩は、月がきれいですね。」の文の後半を省略した形です。

 しかし、友達同士で、気軽なメールや手紙を出すときに「こんにちわ!」と書いてしまうことがありませんか。 でも、これは、正しい表記ではなく、間違いなので、仕事上の書類や手紙など、目上の人に対しては、注意してください。

 では、なぜ最近、「こんにち」の形を、たまに見るようになったのでしょうか。

いろいろと調べてみると、次のような説を発見しました!

 略した「若者言葉」的なものとして「こんちわ~」とか、「ちわ~」など、つまり、こういう略した挨拶の場合は「は」ではなく、「わ」を使う場合が多く、この現象が、通常の「こんにちは」にも影響されてしまい、「こんにち」と誤用する人が増えている、ということでした。 なるほど、そうなんですね。

 「こんにちわ」という言葉は、辞書にも載っていません。  

 孫には、大きくなり、理由が分かるようになってから、教えてあげよう、と思っています。 取り敢えず今は、「こう書くよ!」と教え込むしかないですね!

 さて、もう一つ、「さようなら」の語源を、ご存知でしょうか。

「さようなら」は「さようならば」が変化した語で、元々は、「それならば」「それでは」という意味の「接続詞」です。 それが、「ごきげんよう」「のちほど」などの他の別れの表現と結び付いた形で用いられるようになり、江戸時代後期に、独立した「別れ」の言葉として、一般化したのだそうです。

 そして、鎌倉女子大学の竹内教授によると、「さようなら」の中には、「これまでを確認し、さようであるならば(できたなら)、この先も、きっと大丈夫!」という意味がある、ということ…

つまり、「さようなら」には、「この先も、うまくいくから、頑張って!」という願いや祈りが込められているのだそうです。

 今まで、何気なく、ただの「挨拶」として使っていた「さようなら」…

これからは、大切に使っていこう、と思いました。

 日頃、口にする言葉には、それぞれの意味や形、歴史、語源というものがあるんですね。

 それでは、また、ブログでお会いしましょう!