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2018年7月3日

テキスト「を」教える? テキスト「で」教える?

日本語教師となるための条件の一つに、「4年制大学卒業+420時間以上の養成講座修了」というものがあり、今まで全然違う業種から転職したり、退職して日本語教師になったりと日本語教師になる方には様々な方がいます。

このように日本語教師になる方のバックグラウンドは様々ですので、NILSでは、新人教師を対象にしっかりと時間をかけて研修を行います。研修が終わらなければ、授業には入れません。日本語教師養成講座もいろいろありますので、それぞれの養成講座で、何をどこまで教えているかもわからないし、教壇に立ったことがない方も多いので、研修では学校とはどういうものか、教師としての心構え、カリキュラム、授業の内容や流れについてなど、基本的なことから実践的なことまで教えていきます。

学校(組織)の一員となるからには、常勤・非常勤の別なくしっかりと規則を把握しておくことが必要です。学生に何か聞かれたときに答えられなかったり、「あの先生はこれをしてよかったのに、この先生からはだめだと言われた・・・」となったりすると、学生からの信頼は得られません。全員が共通の認識を持ち、行動することが大切です。

NILSでは、授業のメソッドや具体的な流れも研修で行います。養成講座で学んだことはほんの一部にすぎず、現場でしか体験できないこともあります。

NILSの初級クラスでは「みんなの日本語」というテキストを使用しています。このテキストは構造シラバスになっており、既習のものを使用し、未習項目を学習していくスタイルのテキストです。研修でもこの「みんなの日本語」を使用しますが、研修を行うと、必ずきかれるのが、
「テキストの練習Aはいつしますか」
「練習Bはどこでしますか」
という質問です。これは「テキスト教えている」人です。私たち教師は、テキストに書いてあることをそのままするわけではありません。テキストの練習はしっかり考えて作られてはいますが、場合によっては場面の変更や表現の追加など、学生に合わせて追加、変更しなければなりません。テキストに載っている練習はあくまでも例です。それを参考に、授業に合わせて自分で考える必要があります。私たちの仕事は「テキストを教える」のではなく、「テキスト教える」のです。

日本人だから日本語なんてわかる、テキストに練習が載っているからそのまま使おうといった人は授業のレベルは上がらないし、学生のレベルもあがりません。「教える」というのは、まず自分が教える項目について勉強する必要があるのです。「教師」という職業を選んだからには、勉強していく必要があります。