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2017年7月10日

どんな教え方がいいのだろうか?

「先生、私、クラスで、フリートーキングをします。」

先生に呼び出されていて指導されていた学生がこんな訴えをしているところに居合わせました。この学生は『みんなの日本語Ⅱ30課』を勉強しているところですが、単語を並べるばかりで、あまりきれいな文で話すことができていませんでした。あとで確認すると、「授業でフリートーキングをしたい」という訴えでした。

NILSでは初級の授業を直接法とオーディオリンガルアプローチを混ぜたような折衷法で行っています。その中で行うドリル練習を嫌がり、しっかり口を動かさない学生はこのような話し方をする傾向があるように思います。
NILSではドリル練習をしっかりする指導方針がありますが、この練習法できれいな文、正しい発音で話せるようになるので、NILSでは長い間このやり方でやっています。しかし効果がある一方で、授業が単純になると学生の方に『言わされている』感を与えたり、ただオウム返しをするだけで終わり、実際の場面で産出できない学生が出てきたりします。そして、彼のように自分の意見を言いたいと思っている学生にとってモチベーションが低くなることも少なくありません。

上記の学生には、彼の日本語を学ぶ目的や、希望を聞いた上で、学校ではどうしてこの練習をしているのか、この練習をするとどのような効果があるのかを説明し、今の学習の長所を理解してもらいました。そして、授業を担当する先生たちとは、授業を単純にしない工夫、ドリル練習をしっかり行った上でのタスク活動などの日本語の産出について話し合いました。

言語の教授法には、上記以外にもコミュニカティブ・アプローチ、TPRなど、いろいろありますが、純粋に1つの教授法で行われている日本語学校はそんなに多くないと思います。学校それぞれに、特色がある教え方をしていると思います。NILSでも基本となる一定のやり方や流れはありますが、今まで小さい変化を何度も繰り返ししてきました。学生の国籍が中国中心だったのがネパールの学生が増えたときには大きく変わったこともあります。対象となる学生が変われば、教え方が変わるのは考えてみれば当然のことでした。

一緒に日本で働いていた先生が、海外で教えるようになり、それまでと全く違う教え方をしているのを聞いて国内と国外ではこんなに違うんだと感じたこともあります。
『私は楽しい授業できれいな文で正しい発音を教えることができている♪』と満足できる日がいつか来るのかなと考えることもありますが、きっとそんなときが来ることはないでしょう。でも、そんな理想にできるだけ近づけるように頑張り続けたいなと思いました。